column 2022.12.27
 
 
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「パンとエスプレッソと由比ガ浜商店」が鎌倉・由比ガ浜商店街にオープン

鎌倉R不動産
 

鎌倉R不動産で募集していた物件が、パン屋兼カフェとしてオープンしました!

鎌倉駅の西口側。由比ガ浜通りの六地蔵の交差点にも近い位置に、昔酒屋さんがあったのを覚えているでしょうか。大規模な修繕と改装工事を経て2022年に「パンとエスプレッソと由比ガ浜商店」というパン屋兼カフェがオープンしました。レトロで趣のある建物と、この立地に惚れ込んだということで、オープンしたお店にお邪魔してきました。

由比ガ浜通り商店街の元酒屋を改装したパン屋「パンとエスプレッソと由比ガ浜商店」

お話を聞かせてくれたのは、この店舗のディレクションを担当された「株式会社パンとエスプレッソと」の松本さん。ご自身も鎌倉在住で、この店舗のことは以前からご存知だったそうです。目の前を通るたびに、レトロなポストや酒屋らしい店構え、たばこの小さな販売所というこの建物のことを気にしてくれていました。

この建物を賃貸物件としてお預かりしたのは「鎌倉R不動産」です。2021年の春頃に最初のご相談をいただき、その後募集を開始しました。その募集広告を見てくださったのが「パンとエスプレッソと」の社長で、社長からそのことを聞いた松本さんは「ぜひここで店を開きたい!この店はポテンシャルがある!」と猛プッシュしてくれたそうです。

ご契約・お引渡し後、工事を着工するにしても「なにを大切にするのか、そしてなにをどこまで修繕しなくてはいけないのか」には、かなり苦戦したそうです。なにしろ古い建物だったので、まずは木造の建物を骨組みだけのスケルトン状態にし、構造上の問題がないかをくまなくチェック。危なそうな部分には補強も加えての大がかりな工事を行いました。裏の倉庫部分も危なっかしい部分は解体。一部は残してテラス席とし植栽もやり直して無事に工事を終えました。

通りに面した席。木製のサッシに入れ替えて、雰囲気よく

外のテラス席。奥は解体せずに残した元倉庫

出来上がった店舗は、木造の2階部分一部の床を抜き、店に入った瞬間に吹抜の空間が広がるダイナミックで明るい印象へ。そして、土間を打ち直してデザイン性のある床の仕上げとしました。元々キッチンがあった場所を拡張してパンの製造場所にし、客席は店内とテラス席、そして元浴室を個室として遊び心をプラスしています。立派な大黒柱と、美味しそうなパンが並ぶ大きなカウンターがマッチして、レトロな味わいを残しつつ清潔感のあるスタイリッシュな空間へと蘇らせています。

大黒柱と、それを囲むように設置したカウンター

松本さんがこの店舗のディレクションにおいて大切にしたことは、鎌倉というまちに合っていること。「東京のパン屋が鎌倉に来たんだね」という風にはしたくなかったのだそうで、この場所、元の店舗ありきで店のデザインを考え、残すべきところをしっかりと残しました。なので「パンとエスプレッソと」の他の店舗のデザインとも違う独自性があり、そこが面白かったりもします。

タバコの看板は、酒屋時代のものをそのまま使っている

レトロなポストとマッチするオフホワイトに外壁を塗装し、引戸や2階の窓は木製建具として雰囲気ある外観に仕上げ直しました。タバコの販売所はこの近所の方からも重宝されていたことを知り、ぜひ販売権を取得したいとがんばった甲斐あって、販売権を再取得することができました。「”たばこ”の看板は以前の店のものをそのまま使っています。懐かしいねと言ってもらえると嬉しいですね」と松本さん。

吹抜の空間がダイナミック。入口が明るく開放的になった

店としては、フラッと近所の方々がパンを買いに来てくれて、この店って昔こうだったよね、ということを思い出せるように。観光の方だけでなく、鎌倉や近隣に住んでいる方が愛犬を連れてカフェを楽しめるように、そんな地域密着のコンセプトがあります。

土間を打ち直してスタイリッシュに仕上げた

「パンとエスプレッソと」は、東京や大阪などにも店舗を展開しています。どの店にも必ずシェフを置き、シェフを中心としてメニューを考案。各店毎に販売するパンの種類を変えているのだそうです。「パンのラインナップに関しては、全部の店で統一するのではなく、地域性やどんなお客様が来て下さるか、どんなパンがお好みかを店ごとに分析して、店頭のパンのラインナップを各店で決めていい運営スタイルとしています。我々が提供するパンはムーという食パンについてはどの店に行っても手に入る定番のパンですが、それ以外については、各店で独自に開発販売しているものがほとんどです」と松本さん。
近隣店舗としては、湘南T-SITEにもお店がありますが、そちらの店舗のラインナップとも違うとのことで鎌倉独自のパンを焼いています。違いを比べて自分が好きなパンに出会うのも楽しみとなりそうです。

「東京のパン屋さん」にならないように、地域の方に愛される店を考え続けていく。店名に「由比ガ浜商店」とあるのも、このエリアや商店街への愛着があるからこそ。これからも楽しみなお店です。

パンとエスプレッソと由比ガ浜商店
所在地:神奈川県鎌倉市由比ガ浜1-10-5
TEL:0467-73-8755
営業時間:8:00~19:00
定休日:不定休
アクセス:JR横須賀線「鎌倉」駅西口より徒歩8分
詳しい営業時間等はお店のInstagramをご確認ください。
Instagram:bread.espresso.and.yuigahama

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