【価格変更しました】 多拠点居住が注目を集めるなかで、鎌倉と共に拠点を持ちたいと候補地として軽井沢は相性が良いようです。
私も軽井沢は好きで伺う機会も多く、その中でつながっていった出会いから、素敵な空間ができたと聞いたので、現地取材に行ってきました。現場に入るや否や、直球の質問が待ち受けていました。
“人が森に入る意味とは何なのか” 時代の変化と共にその意味や価値、そしてそこにあるべき空間を見直す必要があるのかもしません。
都心の生活を中心にしていると、自分が自然に入っていくような瞬間に価値を感じるのではないでしょうか。例えば、森が醸し出す風や木漏れ日といったものを全身で浴びることで、自然のエネルギーを受け取りながら自然に迎え入れてもらう瞬間であったり、しとしとと降り続ける雨の音、虫や鳥の鳴き声などで心を無にすることができたり。
そうした瞬間を大切にする空間には何が必要なのか。それは森に敬意を払うことから建築を考えていくということなのかもしれません。
“森を借りて住まわせてもらう” このような思いから、この建物の形が生まれたそうです。なだらかな斜面に生えている樹木をできるだけ傷つけずに建物を建てる。その結果として出来上がった空間は、まるで森に床を浮かべたような空間になっていました。
斜面からは鉄骨の足を組んで水平な人工地盤を設け、浮かべるように薄く軽い印象の床を敷いていく。どの部分に立って、座って、寝そべってみると心地よいと感じるのか。その体験に一番の価値を置いたときに、間取りはおのずと大きなワンフロアが望ましい。そう思うのです。
極力、壁は少なく、視線がどこまでも奥深くまで続く森の木々となるようにする。そして背面の壁は外部のデッキまで連続させて内部と外部の連続性を持たせる。その壁面の表情は岩肌のような荒々しさと力強さに満ちている。
また外部のデッキは建物をL字に囲み、さらに一段下がった部分にも床を浮かせる。まだデッキの一部は既存の樹木がデッキを貫通していて、ゲストを呼んだりした際にも、分かりやすく説明ができる自然との一体感を与えてくれます。
このくらい徹底して自然と向き合える空間を持っていると、自分に自信が持てるようになるのかもしれません。
個人的にはここでは「自分一人になれる空間」として使ってもらえると価値が最大化するように感じています。何もしない時間をここで過ごすとか、雑念を排除してある本を熟読するとか、絵や曲を制作するなんていう時間もいいかもしれません。
たまに友人知人が来た際には、今の軽井沢には新しくできたスポットがたくさんあります。星野リゾートにはハルニレテラスやトンボの湯(写真16枚目)、この家でみんな集まってごはんをつくるなら軽井沢発地市庭(写真15枚目)などで地元の素敵食材を買い込んでワイワイするのも楽しめそうです。 |